都市的知性の民主制

計画地は港区港南、高輪ゲートウェイ駅の線路を挟んだ向かい側の敷地である。

現在高輪ゲートウェイ駅周辺西地区では具体的な都市開発計画が進んでいるが、反対側に当たる東地区一帯は下水道処理施設とその上部を利用した公園があるだけで、新たな都市像を見据えた都市的な動きが見られない。そのような状況に対して具体的な都市空間を提案せよ、というのがここで与えられた命題である。


この敷地周辺に足を運んだ時、ビル群のスキマに日常では触れることのないスケールのインフラストラクチャが確かに育っている姿を目にし、都市の肥大化の裏側で、それを下支えする下部構造としてのインフラストラクチャも同時に肥大化していることを実感した。まるで都市が生きているようであった。


一方で、都市の表層は経済的合理性によって形態が決定され均質化へと向かっている。私はこの状況を「都市の病」と仮定し、その侵攻を食い止めるべく批評的な設計を目指した。


これは、都市の肥大化に拍車をかけるのではなく、むしろその裏側に存在するインフラストラクチャを優先的に肥大化させていくことで、既存の建築言語が新たなコンテクストと衝突を起こし空間が書き換えられていくのではないかという実験的思考である。

出題

設計スタジオA「建築×交通×環境-東京の新たな結節点のすがた-」